【10年後に】カツドンチャンネル part19【また逢おう】

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クリスマスイヴの定禅寺通り
光のページェントが煌びやかに輝き、歩道を行き交う楽しそうなカップルたちを照らしだす。

そんな歩道の隅に何故か腰を下ろしているカツドン。
彼が座っているのは、歩道によくある植栽エリアを縁取る高さ10cmぐらい縁石ブロックだ。
映像は地上に近い位置からカツドンを捉えていることから、カメラは縁石上に置かれているのだろう。

すると彼は、紙袋から何かを取り出した。そう、チキン(モスバーガー)である。
動画の中で繰り返し欲しがっていたチキン。クリスマス気分を味わう為にどうしても食べたいようだ。
しかし、まさかここで…？1ｍも離れていないところを着飾った恋人たちが歩いているんだぞ？

次の瞬間、カメラは満足そうに鶏肉にかぶりつくカツドンの姿を捉えていた。
肉を貪り、口をもごもごしながら、目の前を通り過ぎる男女をジロジロと見上げている。
無論、殆どの通行人は見て見ぬふりだ。私だってそうする。
しかし、親に手を引かれる小児は旺盛な好奇心に勝てるわけもない。
つい視線をむけてしまう。
私は思わず「危ない!!目を合わせちゃダメだ!!」と声を出してしまった。

さらに驚くことに、このシーンにはこんなキャプションが添えられていた。

［ クリスマスイヴにここでチキンを食べるなんてなんだかとっても贅沢だ。 ］

贅沢？？ この映像のどこに贅沢があったのだろうか？
私の目には、世間からあぶれた孤独な中年男性が、『ボクもクリスマスイブを楽しんでます！』
と精一杯の見栄を張ろうとして、逆に惨めな姿を披露してしまったようにしか見えなかった。

動画の中で彼は言う 「独りでも楽しかった」 と。
そんなカツドンと対照的に背後で輝くページェントはより眩しく見えたのは私の気のせいだろうか…